コラム

2024.05.08

道志村から全国のモデルケースへ~高齢者見守りIoTサービス~|(株)ヤモリ・藤澤社長

DOSHI PROJECT

2023年11月からスタートしたDOSHI PROJECTは「道志村をテストフィールドに」と4件のプロジェクトが動き、1件のプロジェクトが相談中です(2024年4月末時点)。この4月から半年間の実証実験がスタートした「高齢者見守り事業」について、コラボレーションパートナーである(株)ヤモリの藤澤社長に実証実験の内容をはじめ、企業から見たDOSHI PROJECTのメリットについて伺ってみました

道志村から全国のモデルケースへ~高齢者見守りIoTサービス~|(株)ヤモリ・藤澤社長
渋谷区にあるDIYでリフォームされた築古戸建てのオフィスにてインタビュー

道志村と取り組むことで社会課題解決への動きを広げられる

―――今回DOSHI PROJECTで実証実験を開始する「みまもりヤモリ」とはどんなサービスでしょうか?

「みまもりヤモリ」はWifi不要、安価で簡単に設置できるIoT見守りサービスです。「みまもりヤモリ」が24時間の間に対象者の動きを感知しなければ、登録したメールに自動的に通知が届くシステムになります。サービス開発の発端は不動産管理会社ように単身高齢者の入居者の生活挙動をIoTデバイスがモニタリングし、異変が起こるとメールで通知するといったものでした。今回の実証実験では役場から村民の協力を得て一人暮らしの高齢者の御宅に「みまもりヤモリ」を設置し、異変を察知すると自動的にメールをその家族や道志村役場に届けます。人命につながる事態を一早く拾上げることで本人も家族も安心して生活できるように支援を目指した実証実験となります。

道志村と取り組むことで社会課題解決への動きを広げられる

道志村と取り組むことで社会課題解決への動きを広げられる

―――不動産会社向けに開発された高齢者見守りサービスを自治体と組むメリットとは何でしょうか?

我々の会社は不動産領域におけるサービス展開を図っているので、不動産会社を中心に営業をかけてきました。しかし本来こういった孤独死の課題は社会が抱えている課題なので解決する先が民間の企業でもあってもいいし、むしろ公共でもあってもいいとかねてから思っていました。中々やっぱり県や市町村などの自治体を動かそうとするとやはり時間がかかってしまう、まして我々のようなスタートアップ企業が動かそうとするならなおさらです。また自社のリソースは限られているのでリソースを集中という意味では導入ハードルが低くて、導入期間が短くて済む民間企業を先に優先せざるを得ない状況でありました。しかし今回「道志村をテストフィールドに」とDOSHI PROJECTの話を知り、自治体との取り組み実績ができることで孤独死といった社会課題の解決に向けた動きを広げられると思い、そこで関心をもって応募させて頂きました。

道志村と取り組むことで社会課題解決への動きを広げられる
藤澤社長から住民健康課へ実際のデバイスを見せながら「みまもりヤモリ」の説明

道志村役場の意思決定の速さは、意外で驚きました

―――いざDOSHI PROJECTに参加してみて、企業から見たこのプロジェクトの感想やご意見を教えてもらえませんか?

自治体と実績を作ることができるのが1番大きなメリットです。今までにないデジタル技術を使ったサービスを自治体に導入していくことは実績がないゆえに非常にハードルが高いと言えます。その点で小さい会社ながらも自治体と組み、実証実験から結果を示せることは、次の展開にとって非常に大きい意味を持ちます。
あと驚いたことは道志村の意思決定の速さです。前職からの経験上、自治体向けの仕事は平気で1、2年と経ち、3年経っても結局何も進まないこともありました。
初回打合せから2か月後にはリリースの準備を進めるといったスピード感は意外でした。

道志村役場の意思決定の速さは、意外で驚きました
2024年3月11日に道志村と(株)ヤモリと共同リリース

道志村の導入実績を全国のモデルケースへ

―――4月から半年間の実証実験が始まりましたが、これをきっかけに「みまもりヤモリ」はどんな展望を描いていますか?

DOSHI PROJECTも掲げていることですが、道志村での導入実績を全国各地のモデルケースへと発展させたいと思っています。道志村の抱えている高齢化における課題は全国各地の自治体にある課題をギュッと恐縮されたものであり、ここできちんと高齢者の見守り事業を検証することが他の自治体へと広げるきっかけにできると思っています。

高齢化社会が進むと同時に単身高齢者も増えていきます。今後日本の人口構成は3人に1人は65歳以上となり、2030年には単身世帯の40%は65歳以上に達するといわれています。予測数字から見ても高齢者の見守りサービスは住み慣れた地域で安心して暮らすための必要なサービスと言えます。これまで見守りサービスは色々な会社がトライしていますが、なかなか普及しきれてないのが現状です。普及されない一番大きなハードルはコストにあります。たいてい親族が心配して導入し、電話や訪問による対応でコストがかかります。我々はモーションセンサー着目することでコスト低減を図るとともに親族のいない身寄りのない人も享受できるサービスにしたいと考えています。

道志村の導入実績を全国のモデルケースへ
高齢者世帯数と年齢別単身世帯の推移/国土交通省第47回分科会資料5より

都心から2時間足らずで着ける道志村の自然環境に魅力を感じます

―――最後に初めて道志村に訪れたということですが、道志村の印象はいかがでしたか?

まずは都心からのアクセスの良さですね。新宿駅から大月駅まで特急で1時間、大月駅から車で45分ほど着き、道志村がこんなに近いと思いませんでした。そして都心から近いのに普段と全く違う自然環境にガラっと変わるのは場所としても魅力的です。いつもとは違うスイッチに切り替わる感覚がありました。ワーケーションにお奨めのスポットとして久保吊り橋の遊歩道を案内してもらいましたが自然がそのまま残り、本当に素敵なところでした。四季折々の自然が楽しめる遊歩道はまた違う季節に行きたいですね、仕事の合間の息抜きにもぴったりですし。

都心から2時間足らずで着ける道志村の自然環境に魅力を感じます
久保吊り橋
Profile

(株)ヤモリ 藤澤社長

東京都出身/三菱商事(株)を退職後、同僚と共に2019年に(株)ヤモリを立ち上げる。「不動産の民主化」のミッションにクラウド・AI を活用した不動産賃貸経営サービスを提供し、多くの不動産オーナーを育成。東京大学のスタートアップ支援プログラムFoundXや東大IPC 1st Roundに採択されて、不動産オーナーや管理会社がクラウドプラットフォームを利用中。趣味は空き家再生、アート、ワイン。チリに4年以上駐在経験ありスペイン語が堪能。 会社名:(株)ヤモリ/設立:2019年11月22日/所在地:東京都渋谷区/HP:https://www.yamori.co.jp/ Instagram:@yamori_inc

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