道志村と横浜を食でつなぐ「道志村ハッピープロジェクト」|太田ハッピープランニング・代表太田久士さん
「道志村をテストフィールドに」と始まったDOSHI PROJECTは1年が経ちしました。お蔭様で多くの相談依頼を頂き、2025年の年明け早々にも2件の相談依頼を受けました。今回のコラムではDOSHI PROJECTのスタートから進めています「道志村ハッピープロジェクト」について、プロジェクトのリーダーである太田さんから1年間の活動やこれからについて話を伺いました。

DOSHI PROJECTがきっかけとなり、自治体との連携のプロジェクトへ
まず「道志村ハッピープロジェクト」ですが、どのようなプロジェクトでしょうか?
―――山と街を食でつなぐことで互いに補完しながら持続的にハッピーになる仕組みづくりになります。道志村でいえば水源で繋がりのある横浜と食でつなぐことで村を活性化させ、街の自給率を上げることを目指します。さらに将来を担う山と街の子供達に里山の豊かな食を伝えることで食文化を未来につなげるといったプロジェクトなります。
DOSHI PROJECTがスタートして直ぐに相談を頂きましたが、DOSHI PROJECTに期待することはどのようなことだったしょうか?
―――自治体と連携することで道志村により根付いた活動にしたい、また公認プロジェクトになることで発信力を高めたいことにあります。道志村とは前職の横浜ビール時代から十数年来の付き合いになります。当時、道志村の水を使ったビールの開発や道志村の野菜をレストランに卸すなどビジネス展開を図ってきました。面白さと共に、一企業でできることを考えるのではなく、山と川でつながる街を一つに捉えた方がもっと豊かな食の実現ができるんじゃないかと火がつき2021年に「道志村ハッピープロジェクト」を立ち上げました。その後、個人含め多くの企業、団体の協力を得てきましたが、DOSHI PROJECTを知った時は自治体と連携をして活動を広げられるチャンスだと捉えました。

DOSHI PROJECTから3つの企画が実現
DOSHI PROJECTを通して、どのように活動が広がりましたか?
―――道志村の役場との協業から、➀野菜の流通、➁相模湾のお魚のお届け、➂鹿肉の活用の3つを実現することができました。まず➀野菜の流通では道志村の生産者さんの余剰野菜を引き受け、横浜で販売する仕組みを作りました。作り余った野菜は道志村では自家消費するしかなかったものが、横浜では自分達の水源地で作られた新鮮な野菜として付加価値が付き売れます。売れる一方出荷高も増やさないといけないのでお客様が買いやすいバラ売りというカタチで流通させました。それは高齢な生産者さんの野菜パッケージング工程を削除し、気軽に余剰野菜を出荷してもらえる配慮にも繋がりました。それによって特に夏場は多くの野菜を道志村から横浜へと届けることができました。そして、野菜と並行して進めていたのが➁相模湾のお魚のお届けですね。
村の人に美味しいお魚を食べて欲しい、それも道志川で繋がる相模湾で朝獲れたお魚を食べて欲しいという思いから、道の駅どうしと横浜市中央卸売市場さんの協力を得て進めたのが相模湾のお魚のお届けです。遠いと思われがちな相模湾ですが、3時間もあれば鮮度の高いお魚を運べます。朝7時に横浜市中央卸売市場で朝獲れた魚を刺身にして道の駅どうしに10時ころまでに運べて、お昼前には店頭に並べられます。鮮度の高い魚を食べることを通して山と街のつながりを感じて欲しい、さらに道志川が繋がる相模湾でこんなに美味しい魚が獲れることを村の誇りとしても思って欲しいですね。
山で海の新鮮な魚を販売するとは面白い発想ですね。この➁相模湾のお届けは想定外の結果もあったそうですね?
―――意外に道志村に来たキャンパーも買ってくれるということもわかりました。道志川が相模湾とつながっている、さらにその海で朝獲れた魚が山で食べられるというストーリーが特別な体験を生んでいるようです。

道志村産の鹿肉のブランド化
―――お話を聞くと道志村ハッピープロジェクトが村の課題解決につながっているとわかりますね。どんな課題から➂鹿肉の活用は取り組まれたのでしょうか?
やはり鹿による鳥獣被害、駆除された鹿の行先の問題、猟友会の高齢化などの多く課題がありました。道志村には加工所がないので年間200頭にもなる駆除された鹿は身内で分ける程度であとは廃棄。これは非常にもったいないですね、そこで山と街をつなぐ発想で横浜市にある加工所の協力を得ることで道志村産の鹿肉として商品化できないかと考えました。道志村で1次加工したものを横浜の加工所に運び、商品化します。それをまた道の駅どうしで販売するという流れになります。
―――その流通システムからどんな商品を開発されたのでしょうか?
昨年夏頃から開発、販売を始めたボロネーゼのレトルトパックは値段が高めですが売れ行きは上々、一時在庫が不足するほどでした。鹿肉のペットフードも同時に開発し道の駅どうしだけでなく、横浜のペットショップでの販売が広がっています。おかげさまで、人気のレトルトとペットフードは、道志村ふるさと納税返礼品にも選ばれました。
また、道志村と横浜とのつながり、社会課題の解決といったストーリーある鹿肉なのでブランド化を目指し、一流のシェフが会する横浜ガストロノミ協議会の協力を得て道の駅どしレストランのメニュー開発も進めています。そして、横浜の各レストランでも道志村産の鹿肉がメニューとなる予定です。
―――これだけ商品化が進むと鹿肉の供給問題がでてきませんか?一時在庫がなくなったとお聞きしますし。
猟友会も高齢化を迎え、捕獲量にも限界があります。そこも山と街を繋げる発想で都心でも免許をもっているものの狩猟する機会がない人や狩猟免許を取得したい人もいます。そういった彼らを道志村で研修を受けてもらい、免許があれば猟友会と一緒に狩猟をできるプログラムを準備しています。このプログラムは2025年の春先にスタート予定になります。狩猟メンバーが増えることで捕獲量の確保とともに高齢化を迎えた猟友会の存続危機の回避につなげたいと思っています。
道志村発の地域創生の全国モデルへ
―――お話を聞くに、ひとつの村では解決できない問題をつながりある街と一緒に考えることで解決につなげ、さらに地域活性化が進んでいることが感じられますね。
課題解決というよりは豊かな食生活を送るにはどうしたらよいかという発想の方が近いですね。日本の国土の7割が山間地です。山間地があって、そこから川が流れて、その先に街がある。そのつながりの中で新鮮で美味しい野菜が取れ、食べられる、それに気づけば眠っている畑ももっともっと元気にさせなきゃ!となり、そして自給率が上がっていくんだと考えます。例えば道志村でいえば、メジャー都市横浜の水源としてつながっています。そのつながりから非常にストーリーがわかりやすく、道志村の作物に付加価値がつきます。この付加価値を数字として結果を残すことがこれからは重要と考えています。昨年の秋の道の駅どうしのイノシカ祭りでは、道志村産の鹿肉を横浜で下準備し、串焼きで提供したところ、昨年に比べて客単価をあげることができました。道志村とつながりある横浜が連携することで数字を残すことが出来ました。お蔭様で2024年は3つの企画をトライすることが出来たので、2025年は数字で結果をだし、ゆくゆくは山と街をつなぐ「道志村ハッピープロジェクト」を全国へと豊かな食生活のモデルケースとして発信していきたいと考えます。
