コラム

2023.11.06

「道の駅どうし」の仕事で村に貢献を|株式会社どうし・道の駅どうし柏村承徳さん

道志村・村民

「道の駅どうし」は、特産品直売所とレストランが併設された施設で、1999年4月にオープンしました。山中湖へと抜ける道志みち(国道413号線)沿いにあり、ツーリングをするバイカーを中心ににぎわっています。その来場者は年間70万人を超えるほどです。道の駅の制度は、制定されてから今年で30周年を迎え、当初は「道路利用者のためのサービス提供の場」だったものから、「道の駅自体が目的地化」という段階を経て、第3ステージの「地方創生・観光を加速する拠点」として位置づけになっています。道の駅がそのような変遷をたどる中で、「道の駅どうし」の支配人である柏村さんに、これからの想いについて聞きました。

「道の駅どうし」の仕事で村に貢献を|株式会社どうし・道の駅どうし柏村承徳さん
笑顔で道の駅どうしについての想いを語る柏村支配人

5年連続バイカー部門の目的地検索ランキング1位

 経路検索大手の「ナビタイムジャパン」によると、「道の駅どうし」は2018年から5年連続で目的地検索ランキングの1位を獲得しています。5年連続1位の秘訣について、「特に、バイカーさん向けにイベントをしてきたことはありません。」と柏村支配人は謙遜します。ただ、バイカーが利用しやすい環境づくりはしてきたとのこと。例えば、バイカーの利用状況にあわせて駐車できるエリアを広げたり、混雑緩和のために警備員が誘導したり、といった取り組みです。その一方で、「とはいっても『道の駅どうし』が目的地になっているわけではなく、人気の国道413号線の存在があってこそ。」と冷静に分析している支配人がいます。  

「道の駅どうし」は、目の前を通る国道413号線とは切っても切り離せません。道の駅の店内を入ると、「R413」というロゴの入った商品シリーズが目に入ってきます。5年前にスタッフが自分のTシャツに「R413」のロゴをプリントして着ていたところ、評判が良かったことが商品化のキッカケです。これは偶然にも最初に目的地検索ランキングの1位を取った時期と同じなのです。この5年間でステッカーのバリエーションは増え、Tシャツも季節限定から通年販売に変わるほど好評を博しています。「R413」というブランディングが、「道の駅自体の目的地化」に寄与しているのかもしれません。柏村支配人は言います、「SNS上でR413がバイカーの間で話題になっていたり、村の外でステッカーを見ると嬉しくなりますね」

5年連続バイカー部門の目的地検索ランキング1位
バイカーに人気のR413ステッカー

冬場の閑散期をどうするか?

「道の駅自体が目的地化」へ徐々に成果を上げている「道の駅どうし」。目的地化の取り組みとしては順調で、次に「地方創生・観光を加速する拠点」に向けた取り組みの段階まで来ているのでは?と尋ねると、柏村支配人からは「おかげさまで温かい季節は、川辺のある道の駅として多くのお客様に来て頂いておりますが、寒くなる冬は富士五胡にある周辺の道の駅と同様に、お客数の数が大きく減ってしまいます。」と悩ましい回答が返ってきます。昔に比べたら冬も温かくなっており、キャンプを楽しむ人も増えているため、そんな変化をチャンスに変えられないかと前向きにとらえて、イノシシやシカといったジビエのイベントを予定しています。また、特産物についても季節野菜の生産をずらして並べられないかと、アイデアマンの柏村支配人は解決の糸口探しに余念がありません。人口の減少と少子高齢化が進む道志村の中で、「道の駅どうし」が地方創生や観光加速の役割を担うときが来ているのは確かであります。

冬場の閑散期をどうするか?
道の駅に隣接する川辺

コロナは道の駅の役割も変えた

「ここ数年、社会が変わり、それによって道の駅の役割が変わるのも実感しています。」という柏村支配人。買い物になかなか行けなかったコロナ禍では、「道の駅どうし」が日用品など必需品を取り扱い、ライフラインの役割を担いました。まさに村民のコンビニです。今では買い物に不自由はなくなり、いったんライフラインでの役割を終えましたが、次は山間部にある村ゆえに移動販売車という形でライフラインの役割を担う計画もあります。「道の駅どうし」は村の中心施設であるがゆえに、観光だけでなく今後も起こりうる社会変化に応じて防災や福祉面でも力を発揮しなければならない時代になりました。  また、コロナはお土産の習慣にも影響を与えたと感じています。コロナをきっかけに進んだリモートワークが、会社でのお土産を配る機会を減らしているせいか、定番のお土産よりも日常的に使う特別感ある商品の売れ行きがよくなっています。例えば、無添加の自家製のキムチや手作りジャム、生鮮ではなくクレソンのペーストなどが売り上げを伸ばしています。「手軽な個人消費モノに道志村産や村人の手作りといった特別感が加わり、お客様に受けているのではないでしょうか。」と柏村支配人は注目します。もしかしたら、こういった変化の中にこそ、「地方創生・観光を加速する拠点」のヒントが隠されているのかもしれません。

コロナは道の駅の役割も変えた
人気の手作りお土産品

「道の駅どうし」のファンを増やして地元道志村にさらなる貢献を

 もともと道志村の出身で、村外で働いてから道の駅どうしに転職して20年ほど経つ柏村支配人は、「道の駅どうしの仕事は楽しいです。仕事を通して村に貢献してきたいです。」と言います。道の駅の第3ステージである「地域創生・観光を加速する拠点」について聞くと、「私の想いでしかありませんが、道の駅どうしのファンを増やしながら、村の方の収入向上に役立てないかと考えています。」と返ってきました。日常使いの特別感ある商品の売れ行きアップは、村の方達にとってチャンスかもしれず、自分のつくったものが売れる喜びを感じながら、収入を上げる機会にもなります。実際に村の主婦がつくったキムチはいつも完売となり、手作りジャムはふるさと納税でも人気上位に上がります。他にも「道の駅どうし」の敷地内での区画利用や、道の駅に来られなくなったファンへの通販など販売チャネルを増やせたらと想像は膨らみます。
 このような想像を含めて、サービスの拡充を現実のものとするためには、施設のハード的な問題、スタッフ不足など問題に突き当たります。柏村支配人は「ハード面は、どうしても法律やお金が関わるので難しい。スタッフを育成して、現場を任せることで、新しいことにチャレンジできるようにしたい」といい、次のステージへと地元を思う気持ちがみてとれます。

「道の駅どうし」のファンを増やして地元道志村にさらなる貢献を
Profile

道の駅どうし柏村承徳支配人

洋食レストランで働いたのち、地元道の駅どうしへ転職し勤続20年ほど経つ。8年前に支配人となり、道志村の観光施設の中心としてやりがいを感じる。趣味はアウトドアで登山や庭で焚火などを楽しむ。

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